実務者研修とは、2003年に廃止されたホームヘルパー1級が改変された資格です。介護のニーズが高まる中、より質の高い介護サービスを提供するために必要な知識や技術を身につけた介護のプロであることが証明できる資格です。
初任者研修の受講科目が9科目であるのに対し、実務者研修の受講科目は20科目と11科目も多くなります。受講時間に換算すると、初任者研修が130時間、実務者研修が450時間となり320時間もの違いがあります。
初任者研修は130時間の講座を修了した後に修了試験が実施されます。実務者研修は、講座終了後の修了試験はありません。ただし、修了試験は資格試験ではなく学んだことを理解できるか確認するための試験となります。
実務者研修の資格を取得する方法は、通信教育もしくは通学によって定められた講座を受講することです。ただし、通信教育でも必ず45時間のスクーリング授業が義務付けられているため、全て通信教育で完了できるわけではありません。
実務者研修の資格を取得すると、サービス提供責任者になることができます。サービス提供責任者になるためには実務者研修もしくは介護福祉士などの資格が必要です。訪問介護の事業所において実務者研修の資格者の需要は高く、就職・転職に有利になります。
かつては実務経験が3年以上あれば初任者研修取得者でも国家試験である介護福祉士の受験資格を得ることができました。しかし、現在は介護福祉士の受験資格として実務者研修の資格取得が必要になっています。介護福祉士になるための必須の資格となります。
実務者研修の資格を取得すると、医療行為であるたん吸引・経管栄養が行えるようになります。介護施設や訪問ヘルパーなどの現場において活躍できる仕事の幅が広がります。重症化した高齢者の介護とは切り離せない医療行為であるため、就職や転職にも有利に働きます。
介護の仕事は無資格でも行うことはできますが、資格があるのとないのとでは活躍できる範囲が異なります。介護の仕事でキャリアを積もうと考えるなら、実務者研修の資格は大きな一歩となります。実務者研修の資格があると、他の資格を取得する際に免除される事項も多くなるため、介護の仕事において取得しておいて損のない資格となります。